生活習慣病は、罹患してから習慣を変えたり投薬治療を行ったりするより、罹患する前に予防する方が合理的です。生活習慣病の予防にかかわる仕事をする看護師として、産業看護師という職種があります。産業看護師は、第一種衛生管理者などの資格を有している場合が多く、一般企業の保健室に勤務し産業医をサポートするのが仕事です。産業医が不在の企業では、産業看護師が生活習慣病の対策業務を担います。生活習慣病を予防するためには、健康診断が欠かせません。悪性腫瘍などの重大な疾病の兆候を発見する上でも、定期的な健康診断は重要です。病棟と異なり、健康な人が多い企業では健康維持への関心が高いとは言えませんが、産業看護師は、従業員に受診を呼びかけ受診率の向上を図らなければなりません。
このため、社内で講習会を開いて注意喚起したり、相談の場を設けたりします。健康診断の結果を基に、産業看護師は個別に保健指導を行い、生活習慣病の予防に努めるのです。また、企業にはそれぞれ特有の雰囲気や慣習があり、それによって従業員が様々なストレスに悩まされていることがあります。こうしたストレスが生活習慣病の原因ともなり得るので、産業看護師は日頃からカウンセリングをして従業員のメンタルチェックをすることも忘れてはいけません。本人が無自覚だったり他人に相談しにくい性格だったりして、本人からの申し出がない場合であっても、産業看護師は周囲の職員からの心配の声などに応じて、カウンセリングを呼びかけることも時には必要だと言えるでしょう。